営業・広告・PR

 自社商品を販売していく上で、重要な役割を果たすのが営業活動です。菓子を製造・販売する製菓会社の場合、菓子を食べる消費者が客となります。営業活動は営業先を訪問、商品を説明・成約することを目的としています。しかし製菓会社にとって客である消費者の個人宅は営業先ではありません。1袋数百円の菓子を一件ごとに販売する方法は非効率だからです。製菓会社の営業部隊が訪問するのは、問屋や小売業者です。問屋や小売業者であれば、自社菓子商品を大量に仕入れて、販売してくれます。数度の訪問で大量の自社菓子商品の成約に辿りつくことができます。効率的です。製菓会社にとって、「客」は消費者で、「営業先」は問屋や小売業者となっています。「客」すなわち「営業先」という図が成り立ちません。

 「客」すなわち「営業先」の図が成り立つ業種もあります。典型的なのが新聞です。新聞販売店の営業部隊が、客である消費者の個人宅に購読契約を直接持ち込んできます。新聞は菓子同様、1つ買うのに、150円前後で済んでしまう商品です。菓子と異なる点として、「習慣性の良さ」が挙げられます。菓子袋を毎日食べ続けるのは「悪い習慣」として問題視されますが、新聞を毎日読み続けるのは「良い習慣」として評価されます。1部150円前後でも、個人宅で契約した場合、朝夕刊セット月額で3000円以上はします。年間契約になると数万円以上です。新聞は高額商品の側面を持っています。新聞販売店の営業部隊にとって、個人宅で高額な契約を取れるので、直接訪問することが効率的です。「営業先」が「客」である消費者の個人宅となるのです。

 企業が外部に販売する商品・サービスの形態によって、「売る方法」は変わってきます。最適な営業方法を探すのはもちろん、時には営業という領域を超えた所で、「売る方法」を企業は模索していきます。典型的なのが広告です。企業が広告代理店を通じ、新聞・テレビの広告枠(テレビではCMに該当する)を買い取り、自社の商品・サービスを訴求します。例えば出版社の場合、自社の書籍を売る為に、営業部隊が書店を訪問します。売れ筋の書籍を目立つ場所に置くお願いをして、書籍の売上増を図ります。しかしそれでは「書店に来る人」への訴求はできますが、「書店に来ない人」への訴求ができません。そこで出版社は新聞の広告枠を買い取り、書籍の広告を出します。新聞読者という広い層に対して、書籍の訴求を図ることができます。企業は「自社の営業では賄えない営業機能」を広告に期待して、広告掲載料金を支払っています。広告の中核的要素は営業機能です。

 広告を最も必要しているのが、「客」を消費者とする企業です。いわゆるBtoC(Business to Consumer)を取引形態にする企業です。自社の営業部隊では非効率になる消費者への営業機能を、広告が代替してくれるからです。一方、会社を「客」とする企業、つまりBtoB(Business to Business)を取引形態にする企業にとって、広告の価値は低いです。例えば重機メーカーにとって、「客」は建設会社です。消費者向けの広告を出す必要はなく、重機メーカーの営業部隊が建設会社に訪問すれば済みます。中には、TVCMを出すBtoBの企業もあります。目的は自社商品・サービスの訴求ではなく、企業自体の認知度向上です。人事採用において、多くの人材が集まることを図っています。

 広告を出す企業にとって、広告を載せる媒体選びが鍵となります。例えば出版社が新刊本を訴求する為、広告を出すとします。現時点では新聞媒体が最も適切です。新聞より幅広い層に情報を伝えられるのがTVCMです。しかし書籍の商品特性上、広告に掲載する情報量は多くなります。短い時間を特徴とするTVCMには、書籍の広告は不向きです。一方、新聞媒体の場合、伝えられる層は狭まります。しかし新聞という紙面には情報量を多く盛り込めるという特長があります。書籍の広告は新聞媒体と親和性が高いです。自社商品・サービスの特性と各媒体の特性を総合的に見ることが大切です。

 PR(広報)といった方法もあります。企業が、媒体の広告枠を買うのではなく、媒体本体に向けて商品情報を流します。企業内でその仕事をする部署が広報です。例えば広報は、新聞や雑誌の編集部に自社新商品の発表会の情報を送ります。記事にしてもらう事を目的としています。紙面を埋めるのに苦労する新聞・雑誌の編集部にとって、紙面を埋める材料となり、好都合の側面もあります。PRの長所は、広告掲載料金を支払わなくて済むことです。悪く言えば、媒体への「タダ乗り」の側面があります。一方、短所は不確実が多いことです。広告枠を買うのと異なり、新聞や雑誌に取り上げられる事は保証されていません。取り上げられても、訴求ポイントを強調する記事を書いてくれる保証はありません。RP業務を事業とするPR会社が存在しています。広告掲載料金よりも低い料金を特長としています。