新聞の折込チラシ

 新聞部数の低落基調が各方面に悪影響を及ぼしています。顕著に打撃を受けているのが広告です。新聞広告の波及効果は、新聞読者の数に相関します。新聞読者の数が減れば、新聞広告の波及効果は低下します。新聞に挟まれている折込チラシも同様です。しかし折込チラシを今一度見直すと、特長がいくつか浮かびます。自社商品・サービスを宣伝する際、チラシを作ったとします。チラシを作るのは簡単ですが、チラシを「配る」ことは簡単ではありません。独力で実行できる配布方法として、対象地域の家一軒一軒にチラシを投函するというポスティング作業や駅前での手渡しがあります。両方、人海戦術の要素が濃い業務です。自社社員に実施させると、多くの時間を割く必要があります。また外部業者に委託すると、高いお金を払わなければなりません。独力で情報を波及させることは容易ではないのです。

 一方、経費は掛かるものの、新聞やテレビに広告として出す方法があります。新聞やテレビが持つ巨大な情報経路によって、多くの人に情報を届けられます。マスコミの強みとして情報制作に加えて、情報経路の所有があります。新聞社の情報経路は、販売店を軸とする宅配制度です。購読営業地域に拡がる販売店から購読家庭に毎朝届く仕組みが確立されています。初期投資は掛かるものの、情報経路を所有しているメリットは大きいです。優先的に自社商品を届けられるのに加えて、情報経路の「利用権」を外部に売り出すことができます。例えば新聞の場合、新聞の間に「挟み込めるスペース」を折込広告枠として様々な企業に売っています。もし外部の輸送会社に新聞配送を委託していたら、折込広告枠を設定することはできません。テレビの場合に直すと、テレビ局と各家庭のテレビが電波によって結ばれている仕組みが、テレビ局の情報経路です。テレビドラマの小休止という「空き時間」をCM枠として売っています。しかしテレビドラマを、所有の情報経路から離れた場所(レンタルDVD店)に置くと、CM枠を設定することはできません。ともかく、情報経路を持っていることで、他社を巻き込む幅広い事業展開ができるのです。

 チラシは、紙という物質を伴う為、宅配業務の情報経路しか利用できません。低予算で作れるチラシで宣伝したい企業にとって、利用できる情報経路は、新聞の折込広告ぐらいしかありません。通販も利用できる情報経路ですが、宅配回数が少ないのが短所です。新聞は毎日宅配される為、スーパーマーケットの期間限定の特売チラシなど、短期間のみ有効な広告展開が、新聞の折込チラシは可能です。スーパーマーケットやパチンコ店などのレジャー施設、マンション販売会社は、新聞の折込チラシをよく出します。地理的制約を受ける業種の為、客層は決まっており、限られた地域のみ宣伝すれば良いです。新聞の折込チラシの場合、各地域の販売店がチラシを折り込む仕組の為、配布地域を細かく指定することができます。客層にならない地域に配られることはありません。その分、チラシ数も削減でき、印刷代金をおさえることができます。時間や地域を柔軟に指定して広告展開できるのが、新聞の折込チラシの特長です。また受動的に情報を摂取できるのも特長です。新聞に折り込まれていると、自然と目につきやすく、チラシが読まれやすいです。能動的な作業になるインターネット検索より情報を伝えやすいです。

 しかし新聞購読者が少なくなると、折込チラシの機能は低下しなくても、広告としての魅力は薄まっていきます。また電子媒体の飛躍的な発達で、新聞宅配制度の先行きは不透明です。新聞宅配制度がなくなれば、新聞の折込チラシもなくなります。新聞の折込チラシに宣伝を頼っていたスーパーマーケットやパチンコ店などのレジャー施設、マンション販売会社にも困った事態に直面することを意味します。新聞の折込チラシの特長(時間や地域を柔軟に指定して広告展開でき、低予算)を代替する広告枠はまだ生まれていません。