人間関係の形態の違いにより、組織内容は異なってくる

 会社の人間関係は、基本的に垂直的です。上下関係的とも言えて、「上の者」と「下の者」が明確に分かれています。「上の者」は「下の者」に比べて、何事においても優先されます。会社組織内の人事評価で、重要視されるのは直属の上司の評価です。直属の部下の評価ではありません。ある課長の評価は、上司である部長が行い、部下である課内の社員達は行いません。よって会社内では、部下よりも上司に対して視線が向きやすい傾向があります。会社組織とは、人事評価という働きによって、垂直的関係が強化されているのです。また業務上の遂行能力の違いにより、社員同士の間に垂直的関係が形成されやすい側面もあります。業務歴の長さによって、体得している業務上の情報、ノウハウ、人脈の内容は変わってきます。当然、入社して長い先輩社員の方が、業務内容に詳しく、協力会社とのネットワークを多く持っています。一方、入社して浅い後輩社員は、先輩社員に比べて、業務内容に詳しくなく、協力会社とのネットワークも少ないです。業務を遂行する上で、先輩社員の方が良い成果を収めやすいです。後輩社員にすれば、業務上の格差を埋めるには、先輩社員の「支援」が必要不可欠です。よって先輩社員に可愛がられることが、後輩社員にとって、業務遂行上も重要となっています。

 垂直的な人間関係には、長所と短所があります。長所としては、役割分担が明確であることです。上司は「上司」の役回りを演じ、部下は「部下」の役回りを演じることが、一定期間明確に固定化されています。1カ月後、互いの役回りが交換される事態は起きにくいです。互いに、課せられた役回りに専念することができます。課長は「課の部下に指示をする」役回りに専念でき、課内の社員は「課長の指示を受ける」役回りに専念できます。専念できることで、役回りの出来の向上を図ることができます。短所は、力関係が明確で固定的であるがゆえに、垂直的な人間関係はしばし暴力的支配関係に転じやすいことです。いわゆるパワハラ、イジメといった類のものです。先輩社員に「支援」を得なければ、業務を遂行できない後輩社員は、先輩社員に逆らうことができない立場に置かれます。逆に言えば、先輩社員にとって、横暴な言動が許される状況下です。横暴になった先輩社員に、後輩社員は苦言を呈することができず、苦言を呈されない事で一層先輩社員の横暴の度は深まっていきます。人間関係の垂直的度合いが濃い組織ほど、パワハラやイジメが生まれやすいと言えます。

 一方、人間関係が水平的な組織があります。学校のクラス内の生徒関係が典型的です。学校のクラス内に、生徒達を評価する機構は存在しません。先生やテストといった、クラスの外にある外部機構によって生徒達は評価されています。またクラス内の生徒達において、基本的に学力レベルは同じなので、学校生活を過ごす上での難易度は同じです。もちろんクラス内における「友達の多寡」による評価、学力の差などは実際存在して、イジメなどもあります。様相は複雑です。しかし理屈としては、学校のクラス内の生徒関係は水平的です。水平的な人間関係にも、長所と短所があります。長所としては、暴力的支配関係に転じにくいことです。水平的であるがゆえに、力関係は不明確で流動的です。水平的な人間関係の組織で長となった人は、他のメンバーに対して、優先する力を持っていません。例えば、地元の自治会、子ども会、PTAの役員に選ばれた人は、人間関係の把握や運営方法が、他のメンバーより優れている訳ではありません。水平的な人間関係の組織において、長が持つ力は弱いです。他のメンバーは逆らうことが可能です。ゆえに、暴力的な支配関係に陥ることは少ないです。短所は、役割分担が不明確であることです。役回りを遂行する上で、組織内で権限が保証されていないのが、水平的な人間関係の組織の特徴です。ちなみに、垂直的な人間関係の組織である会社においては、役回りの権限は、垂直的な関係が生み出す「差」によって保証されています。「差」がない水平的な人間関係の組織においては、役回りの権限がない為、役回りは流動的になります。「指示をする」役回りや、「指示を受ける」役回りが固定化しにくく、組織運営が円滑化しにくい傾向があります。人間関係の形態の違いにより、組織内容は異なってくるのです。