ヤクザ組織はスカウトマンを通じて力を及ぼす

 一昔より目立たなくなったとはいえ、繁華街で未だに若い女性に声を掛ける男性達つまりスカウトマンがいます。女性に無視をされても、横を歩きしつこく話しかけてきます。さすがにしばらく女性が無視し続けていると、スカウトマンはあきらめます。しかしスカウトマンは次の「獲物」をすぐに見つけて、熱心に声を掛けいきます。スカウトマンの役割は、キャバクラなどの接待飲食店や風俗店で働く女性を確保、店側に供給することです。日本には様々な業界がありますが、多くの業界は人材確保をハローワークに求人情報を出す、またリクルートマイナビといった求人広告会社に求人広告を出すことで対応しています。しかし接待飲食業界や風俗業界は職務の特殊性から、求人広告の効力が弱いです。

 よって別の経路で人材を確保する必要があります。その経路がスカウトマンです。『週刊実話』2016年4月7日号「風俗新潮流 スカウトマン」(慶封水著)によれば、「風俗店によっては在籍する女のコの7割がスカウトマン経由だったりするのだ」(P172)と述べられています。求人広告と異なり、スカウトマンの場合、足を止めて話を聞いた女性と一時期な人間関係を形成することできます。スカウトマンは情を駆使して女性を接待飲食店や風俗店での勤労に誘導してきます。情を駆使できるのがスカウトマンの強みです。スカウトマン達の常套手段として、はじめ抵抗感の弱い接待飲食店の就業を薦めておいて、関係が強まった時に風俗店の就業を薦める手口があります。まさに現代の女衒がスカウトマンなのです。

*今回記事を作成するにあたり『週刊実話』2016年4月7日号「風俗新潮流 スカウトマン」(慶封水著)、『フーゾク資本論 なぜセックスは「巨万の富」を生むのか?』(岩永文夫、2015年、文庫ぎんが堂)の情報を参考にさせて頂きました。

 スカウト行為自体は、現在自治体の迷惑防止条例により禁止されています。スカウト行為は違法領域にあるのです。しかし現行犯逮捕は難しいです。スカウト行為は、外見において、「私的な声掛け」(いわゆるナンパ)と「スカウト」の判別がしづらいです。警察官が現場を捕まえて質しても、スカウトマンに言い逃れされてしまいやすいのかもしれません。スカウトマン逮捕の数が少ないのが実態です。結果、現在もスカウト行為が繁華街で行われています。スカウトマンはスカウトグループつまり組織の一員として動いていることが一般的です。スカウト行為の違法性ゆえに、スカウト業界内の揉め事(スカウトの区割り等)は、公的機関に頼ることはできません。よってヤクザ組織に頼ることになります。裏社会において、スカウトグループより上に位置するヤクザ組織がスカウト業界の調整役を担っています。スカウトグループやヤクザ組織に了解を得ないで、個人が勝手にスカウト業をすれば、暴力的制裁が待ち受けています。

 確保した女性を接待飲食店や風俗店に供給した対価がスカウト料です。接待飲食店がスカウトマンに支払うスカウト料は、現在女性1人につき5~8万円が相場です。以前は3~5万円でした。スカウト料が値上がりしています。ちなみに接待飲食店の場合、スカウトマンを経由させない人材獲得方法もあります。オーナー自身が他店のキャバクラに客として遊びに行き、稼げそうなキャバクラ嬢をスカウトする方法です。引き抜き行為の為、トラブルのもとになりますが、行われています。一方風俗店の場合、プレイ料金の一定比率をスカウト料として支払う形態となっています。スカウトされた女性のプレイ料金の15~20%が現在のスカウト料の相場です。男性がソープランドでプレイ料金3万円を支払った場合、4500~6000円がスカウトマンの手に渡っているのです。

 以前、スカウト料の相場はプレイ料金の10%でした。風俗店においても、スカウト料が値上がりしています。風俗店のスカウト料の場合、対象女性従業員が働き続ける限り、スカウトマン側に継続的に支払わねばなりません。風俗店にとっては重荷です。一方、スカウトマン側にとっては、定期的収入を確保できる上に、風俗店とのつながりを常に維持できる都合の良い契約形態です。加えて、顧問料という別途の料金をスカウトマン側に支払う店もあります。「女性を他の店より優先的に供給する」という名目で顧問料は設定されています。月額20~30万円を顧問料として支払う風俗店があります。

 接待飲食店や風俗店は人材確保の面から、スカウトマンを大事にせざるをえません。スカウトマンが人材を供給しなくなると、商売ができなくなります。スカウト料の値上がりが示すように、現在はスカウトマン側が店側より優位な立場にいます。スカウト業界に大きな影響力を及ぼしているのがヤクザ組織です。つまり接待飲食店や風俗店はヤクザ組織も同時に大事に扱わざるをえなくなっています。接待飲食店や風俗店はヤクザ組織に現在もミカジメ料を払い続けています。ヤクザ組織がスカウトマンを通じて接待飲食店や風俗店に力を及ぼしている図式です。