神戸山口組の動向が注目される

 衝撃的なニュースがヤクザ社会に走りました。5月31日午前9時50分頃、岡山県岡山市南区のマンション駐車場で、神戸山口組2次団体・池田組の若頭を務める男性が2発の銃弾を身体に受け、死亡しました。犯人はバイクで走り去り、現在も捕まっておりません。岡山市を本拠地とする池田組は1992年、山口組2次団体・大石組から内部昇格する形で、山口組の2次団体に昇格します。現在池田組を率いる池田孝志組長は、1992年の昇格時も池田組のトップであり、大石組では若頭を務めていました1992年以降、池田組は全国に自身の勢力を拡大していきます。山口組分裂抗争でも、北海道の旭川市に拠点を置く池田組の傘下団体・孝昇会が、同じく旭川市に拠点を置く2次団体・旭導会と小競り合いを起こして、事件化されています。岡山から遠く離れた北海道にも傘下団体を持っていることは、池田組が山口組当時から「有力2次団体」であったことを物語っています。神戸山口組内でも、池田組の2次団体としての存在感は山健組、宅見組に次ぐ位置にあると見て良いでしょう。つまり今回の射殺事件は、神戸山口組にとって、重要幹部を失ったことを意味します。

 犯人が捕まっていない以上、断定は避けるべきですが、神戸山口組側は山口組の仕業と考えるはずです。伊勢志摩サミットの影響で、5月に入って以降、両団体の抗争事件は沈静化しました。それ以前も、従来のヤクザ間抗争における「敵対幹部射殺」という典型的攻撃を、両団体ともとっていませんでした。2008年山口組2次団体・小西一家住吉会と起こした抗争で、住吉会幹部射殺事件を巡り組織犯罪処罰法違反と銃刀法違反により、小西一家トップの落合勇治総長が逮捕されます。住吉会幹部射殺に対して、落合勇治の殺害の指示があったという内容を検察は主張します。2013年7月さいたま地裁無期懲役と罰金3000万円の刑が落合勇治に下されました。また今年2月1日、東京高裁は落合勇治の控訴を棄却し、さいたま地裁が出した無期懲役、罰金3000万円の判決を支持しました。落合勇治は殺害の指示を否定しています。

 以上の司法判断は、ヤクザ間抗争で死者が出た場合、組織犯罪処罰法違反などにより、2次団体トップを無期懲役に処する司法環境にあることを示しました。場合によっては、1次団体のトップまでも、逮捕される可能性があります。その状況下により、今回の抗争では、小競り合いが起きても、「構成員を殺害する」という事態にまでは至らないという雰囲気が内外に漂っていました。

 目下、注目されてくるのが神戸山口組の動向です。山口組との抗争において、これまで神戸山口組側は銃や刃物を使った攻撃を控えていました。加えて、最近は神戸山口組内で、山口組側の乗用車特攻や小競り合いに対する「報復はするな」という命令が最近下っています。一方、神戸山口組側の受ける攻撃には、幹部宅や事務所への銃撃といった銃を用いた攻撃があります。神戸山口組側は警察当局を刺激することなく、「非対称な戦い」をしてきました。山口組側だけが警察当局を刺激させて、山口組だけが警察当局に締め付けられる展開を期待しているかのような行動にも見えました。しかし今回の射殺事件は神戸山口組にとって看過できない事態です。これまでの抑制的な戦い方を見直すのか、それとも時代にあった新しい戦い方を模索していくのか、今後の神戸山口組の動きは誰も読めません。

 

 ともかく分裂抗争はとうとう未知の段階に入ったといわざるをえません。