特定抗争指定暴力団の指定を避けたい両山口組

 抗争中の山口組と神戸山口組が共に恐れていることの1つに、警察当局による「特定抗争指定暴力団の指定」があります。

 2014年に改正された暴対法第十五条によれば、指定暴力団(つまりヤクザ組織)同士による武力抗争が激化した場合、公安委員会が該当のヤクザ組織を「特定抗争指定暴力団等」に3ヵ月間(延長可)指定することができます(*1)。「特定抗争指定暴力団等」として指定されたヤクザ組織の構成員は、「警戒区域」という定められた場所で、禁止行為を課せられます(*1)。多数での集合、警戒区域にある組事務所への立ち入りや留まりなどが禁止されます(*1)。禁止行為を破った「特定抗争指定暴力団等」の構成員には、罰則が科されます。現在の暴対法は、「特定抗争指定暴力団等」に該当すれば、通常犯罪性のない「多数の集合」や「事務所への立入り」という行為も、取締りの対象としています。

 構成員の集合や事務所使用が禁じられると、組織間での密な連絡が難しくなります。抗争活動は停滞し、加えてヤクザ組織の資金獲得活動にも支障を来します(*2)。山口組、神戸山口組ともに避けたい事態です。

 特定抗争指定暴力団は、2012年に改正された暴対法により設けられました概念です(*3)。同年、抗争中だった道仁会と九州誠道会(現在の浪川会)が特定抗争指定暴力団の指定を初めて受けました(*3)。その影響もあったのか、2013年6月、抗争は終結しました(*3)。2014年、両団体において「特定指定暴力団の指定」が解除されました(*3)。現在、特定指定暴力団の指定を受けているヤクザ組織はありません。

<引用・参考文献>

*1 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H03/H03HO077.html

*2『最新ビジュアルDX版! 山口組分裂「六神抗争」365日の全内幕』(宝島特別取材班編、2016年、宝島社)「2つの山口組「和平交渉」が破談“仲裁”のキーマンたちの胸のウチ」(伊藤博敏著), p103

*3 『実話時代』2016年9月号「全国指定22団体一本独鈷総覧」