ヤクザ組織の資金獲得活動である密漁

 ヤクザ組織の資金獲得活動の1つに密漁があります。特に、北海道のヤクザ組織にとって密漁は主要な資金獲得活動となっています(*1)。背景には、北海道経済に力がないため、都市部の裏社会利権の規模が小さいことがあります(*1)。北海道における密漁の典型がカニ密漁です。日本の食品市場に出回るカニの中で、密漁経由のものが一定割合を占めています(*1)。

 

 カニ密漁の場合、「国境を無断で超えて、無断で漁を行った」という違法性により、密漁扱いとなります。超える国境は日本とロシアの国境です。日本のカニ密漁チームは、ロシア国境警備隊の摘発リスクを常に背負うことになります。カニ密漁の中で、ヤクザ組織の役割として「密漁の実行部隊」を部分的に担うことに加えて、ロシア側との連絡・交渉係があります(*1)。日本のカニ密漁チームが、カニをロシア漁船から購入する場合もあります(*1)。「違法な取引」である為、ロシア漁船側のバックにもロシアマフィアが控えています(*1)。両方に「裏社会の暴力組織」が控えている場合、「裏社会の暴力組織」同士の直接的交渉が、物事を解決する上で、無難な選択肢となります。日本のカニ密漁チームにおいて、ヤクザ組織の果たす役割が一定あるのです(*1)。

 

 元ヤクザ組織の組員で現在作家の中野ジローによれば、北海道のヤクザ組織において、猟師や漁師の仕事とヤクザ組織の仕事を兼業している組員が多いです(*2)。また北海道のヤクザ組織は、ロシアマフィアとの交流もあるとのことです(*2)。密漁自体のノウハウに長けている組員が多数いることが推測されます。

 

 近年、密漁の対象として注目を浴びているのがナマコです。ナマコは浅い海域にあり、とりやすく、その点が密漁側の利点となっています(*1)。加えて、旺盛な需要が、ナマコ密漁が流行る要因です。ナマコは「海の黒いダイヤ」と言われ、中国では高級食材として位置づけられています(*3)。

 

<引用・参考文献>

*1 『ヤクザ500人とメシを食いました!』(鈴木智彦、2013年、宝島SUGOI文庫), p142~144

*2『実話時代』2015年2月号「ヤクザと地域性(前編) 静かなる地の熱き俠たち」(中野ジロー), p111~112

*3『ZAITEN』2015年7月号,「東証2部・大光が嵌った 築地魚市場「ナマコ架空取引」の闇」(芝芳孝), p52