大阪のちょんの間街

 大阪府には、現在「ちょんの間」を展開するエリアが5カ所あります(*1)。飛田新地大阪市)、松島新地(大阪市)、今里新地(大阪市)、信太山新地(和泉市)、滝井新地(守口市)の5カ所です。「新地」とは、男性向けの遊び場を指す言葉です(*2)。ちょんの間とは、ジャーナリスト鈴木智彦によれば、「時間が短いこと」を由来とする一種の売春サービスを指します(*3)。客に入浴やシャワーをさせず、数十分限りという「短時間の本番行為」の売春サービスです(*3)。本番行為の売春サービスは、日本においては違法領域です。

 

 飛田新地の色町としての歴史は古く、第1次世界大戦後、飛田新地の場所に遊郭ができ、太平洋戦争後も売春街として栄えます(*1)。1958年売春防止法が施行され、以降全国各地の売春街は消滅していきます (*1)。一方、飛田新地で売春サービスを提供してきた店は、1958年4月1日以降、料理屋として届け出を出し「表向きの転業」を図ります(*2)。飛田新地の料理屋において、「料理を運ぶ」女給と「食事目的」の男性とが自由恋愛に陥った結果、性行為に至るという解釈で、飛田新地は売春サービスを提供し続けていきます(*3)。

 

 ちょんの間街として、群を抜いているのが飛田新地です(*1)。2015年時点で、約170軒の店があり、日本最大のちょんの間街です(*1)。また女性の質(ルックス)も高いことが知られています(*1)。客が直接女性を見て選択できる「顔みせ」というサービスもあります(*1)。各店に1人の女性が座っており、気にいった女性がいる店に客が入ります(*1)。店の中では「顔見せ」の入れ替わりがあり、1986年の木村聡の取材によると、1人の女性の「顔見せ時間」は7分で、7分間に客から指名がないと、交代させられる仕組みになっています(*2)。基本的に、客は「顔見せ」中の女性しか選べません。気にいった女性を見つけた客にすれば、その女性の「顔見せ」時間は最大でも7分ということになります。他店の女性を時間をかけて比較している余裕はありません。「7分交代」のルールは、客に女性指名を即断させ上で、有効な手法と言えます。

 

 本番行為に加えて、ちょんの間のもう1つの特徴が料金の安さです。安さは、短時間によるサービスがもたらしています。飛田新地の場合、2015年時点で、15分1万1000円、20分1万6000円、30分2万1000円という一律料金となっています(*1)。飛田新地の場合、ちょんの間街の中でも、高価格帯の料金となっています(*1)。大阪のちょんの間街で、低価格な料金で知られるのが信太山新地です(*4)。2016年時点、相場は15分コース7500円以上となっています(*4)。

 

<引用・参考文献>

*1 『週刊実話』2015年10月22日号「風俗新潮流 第22回 大阪飛田新地」(慶封水著), p70~73

*2 『消えた赤線放浪記 その色町の今は…』(木村聡、2016年、ちくま文庫), p205~214

*3 『潜入ルポ ヤクザの修羅場』(鈴木智彦、2011年、文春新書), p224~225

*4 『週刊実話』2016年9月29日号「スキンレス春川が往く! 風俗裏街道」, p146~147