ヤクザ組織の三役

 ヤクザ組織の中の組織運営側(執行部)には、一般企業と同じく、役職が存在します。山口組傘下団体の場合、組織規模を問わず、1つのヤクザ組織に若頭、舎弟頭、本部長という役職が通常あります(*1)。ヤクザ組織は運営上「疑似家族」の形態をとっています(*1)。「親」役は組織の長、つまり組長や会長に就く者が務めます。「子」役は、「親」役の下に位置する者達が務めます。また舎弟と呼ばれる「弟」役もいます。「弟」役の「兄」は、「親」役の者です。つまり「子」役から見れば、「弟」役は「親の弟」つまり「叔父」にあたります(*1)。構成員の「親」役、「子」役、「弟」役への振り分けは、「疑似家族」の形態をとるヤクザ組織にとって必要不可欠な作業です。

 

 また「子」役と「弟」役には複数の者が務めますが、「親」役は1人に限ります。「親」役とそれ以外の役には、垂直的な関係があります。よってヤクザ組織において、「親」役は「楽をする存在」として位置づけられています。「親」役が組織内で苦労する役割を負わないように、ヤクザ組織は設計されています。「下の者が上の者に徹底的に尽くす」という考えです。常時「子」役や「弟」役は損の役回りです。しかし2次団体で「子」役また「弟」役の者は、3次団体のトップであることが多いです。つまり2次団体の「子」役また「弟」役の者は、「親」役でもあるのです。その者が自身の組織(3次団体)を統率する上で、「下の者が上の者に徹底的に尽くす」という考えは、一転有用となります。

 

 ヤクザ組織の役職には、ヤクザ組織の「疑似家族」の考えが反映されています。苦労の多い執行部に、「親」役の仕事はありません。執行部の仕事は、「子」役と「弟」役が務めます。若頭は、「子」役の者達のトップ(頭)の地位です(*1)。「子」役の者は、日常的には「若い者」「若中(若中)」と呼ばれます。若頭は組織内実務の決定権を「親」役から一任されています。若頭は執行部のトップとなります。舎弟頭は、舎弟達の取りまとめ役つまりトップ(頭)です。「疑似家族」の考えが反映されていない役職が、名が示すように本部長です。本部長は、組織の本部事務所を取り仕切る仕事をします(*1)。若頭、舎弟頭、本部長、そして複数の若頭補佐によって執行部が形成されています(*1)。ヤクザ組織の執行部とは、組織内の最高意思決定機関です(「親」役の特別指示を除く)。

 

<引用・参考文献>

*1 『密着!ビジュアル決定版 山口組 分裂抗争の全軌跡』(別冊宝島編集部編、2016年、宝島社), 「Q&Aでわかる! ツイッター組長の「そこからですか!?山口組」」p84~85