ポン引きとは

 風俗店街を歩く男性に対して、熱心に声を掛けてくる人達がいます。「ポン引き」という行為をする者、もしくは「客引き」という行為をする店の従業員です。ポン引きと客引きは、一見同じ勧誘行為ですが、実態は異なります。ポン引きをする者は、複数の風俗店と契約し、つかまえた客を客のニーズに合わせて店に送ります(*1)。ポン引きを行う者は、基本的に店の従業員ではなく、フリーな立場にあります。一方、客引きとは、店の従業員が「店の前」で店の利用を促す行為です(*2)。

 

 従業員という立場上、条例などにより「店の前」以外では、勧誘行為ができないデメリットがあります。対してポン引きを行う者は、フリーな立場ゆえに、風俗店街を自由に移動できます。つまり「客引き」は営業範囲が狭く、「ポン引き」は営業範囲が広い特徴を持っています。当然、ポン引きは、公にできる行為ではない性格上、「裏社会の番人」であるヤクザ組織の「保証」を得て行う必要があります。

 

 ポン引き業界においても、場所によっては独自のルールがあります。「本番行為」のサービスがあることで有名な三重県渡鹿野島においては、島に入ってきた客に「最初に勧誘したポン引き行為者」が紹介料を得るルールがあります(*3)。客にとっては、後に別のポン引き行為者から女性を紹介されにくい仕組みです(*4)。ポン引きを行う者は男性のイメージがありますが、女性も行っています。『消えた赤線放浪記 その色町の今は…』で著者の木村聡は2000年取材において、松山の道後温泉街の要所で中年女性によるポン引き行為があったと述べています(*5)。

 

<引用・参考文献>

*1 『フーゾク資本論 なぜセックスは「巨万の富」を生むのか?』(岩永文夫、2015年、文庫ぎんが堂), p74

*2 同上

*3 『週刊実話』2016年6月9日号「スキンレス春川が往く! 風俗裏街道」, p138~139

*4 同上

*5 『消えた赤線放浪記 その色町の今は…』(木村聡、2016年、ちくま文庫), p262