暴対法の規制対象行為

 1992年3月1日に施行された暴対法の正式名称は、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」です(*1)。1992年以降改正を重ねていった暴対法は、ヤクザ組織の活動領域を狭めることに一定の役割を果たしました。暴対法により警察当局は、暴対法が定める「不当な行為」を行った組員を検挙及び逮捕できます。「不当な行為」とは、民事介入暴力のことです(*2)。暴対法は、ヤクザ組織の全ての犯罪行為を処罰する法律ではありません。ヤクザ組織の主要な資金獲得業である「覚醒剤の販売」の場合、販売に関わった組員は覚醒剤取締法により処罰されます。民事介入暴力とは、暴力を背景として経済活動することで、端的な例がバブル期に流行った地上げ行為です(*2)。

 

 暴対法が定める「不当な行為」とは、暴力団員の規制対象行為のことであり、全て暴対法に列挙されています(*3)。「寄付金や賛助金等を要求する行為」「下請参入等を要求する行為」「不当な方法で債権を取り立てる行為」等が、暴対法では規制対象行為とされています(*3)。通常、民間人が寄付金を要求、下請参入を要求しても処罰されることはありません。「暴力団員」という属性の有無だけで、処罰が決定される法律です。

 

 暴対法は「暴力団員」を、「指定暴力団」に属する者としています(*4)。ヤクザ組織を「指定暴力団」と指定するのは各都道府県の公安委員会です。非指定のヤクザ組織の構成員は、暴対法の適用外ということになります。指定要件は「資金獲得のために威力を利用することを構成員に容認していること」「犯罪経歴の保有者が一定の割合以上存在していること」「代表者等の統制のもとに階層的に構成されていること」の3つです(*4)。指定される為には、3つ全て満たしている必要があります(*4)。2要件満たしていても、指定には至りません。

 

<引用・参考文献>

*1 『現代ヤクザ大事典』(実話時代編集部編、2007年、洋泉社), p158

*2 『現代ヤクザ大事典』, p66

*3 『マル暴捜査』(今井良、2017年、新潮新書), p33-36

*4 『マル暴捜査』, p27-28