売春組織の合法的な「看板」

 

 日本において性風俗業の新規開業は難しいといわれています。ソープランドの場合、1985年の新風営法の施行以降、地域によって条例により、新規開業が困難になりました(*1)。ファッションヘルスも同様に、新宿歌舞伎町や横浜の関内では、新規開業が困難です(*2)。性風俗業は行政の規制の強い業種です。供給側(サービス提供側)が行政規制により絞られる一方、需要(サービスを欲する側)が一定ある業界では、非合法活動が跡をたたないです。

 

 2017年9月北海道札幌市の中古車個人売買仲介業の社長(当時50歳)が売春防止法違反(周旋)の疑いで逮捕されました(*3)。同年8月、従業員女性(19歳)を出会い系サイトで勧誘した50代男性に売春を周旋した疑いです(*3)。ちなみに周旋(しゅうせん)とは「斡旋」のことで、売春婦と客の間に入って、交渉を行うことです。

 

 会社は2016年11月に設立されました(*3)。設立から9カ月後に、従業員に売春をさせていたことが発覚しました。出会い系サイトで集めた19~24歳の女性十数人を従業員として雇用していました(*3)。会社の実態は、売春組織だったことが伺えます(*3)。しかし会社ホームページを作成し、体裁を整えていました。

 

 逮捕された社長は、売春組織運営する際、合法的な「看板」を必要としたと考えられます。売春で得た利益は、税務署に申告することはなく、脱税することになります。一時的な収入であれば誤魔化しはきくかもしれませんが、売春の利益は持続的に入ってきます。税務署に気づかれるリスクが高いです。結果、利益の使い道は限定されていきます。

 

 解決策の1つとして、「合法的な金」に変えることがあります。逮捕された社長は、売春で得た利益を「中古車で得た利益」に差し替えることを企んでいたと考えられます。諸々の税金を払わねばなりませんが、利益の使い道の幅は広がります。また売春婦にとっては「中古車販売会社の従業員」という肩書を持つことができ、家族や友人への体裁を整えることができます。

 

<引用・参考文献>

*1 『[風俗]商売の始め方・儲け方』(立川文人、2010年、ぱる出版), p76

*2 『[風俗]商売の始め方・儲け方』, p80

*3 『日刊ゲンダイ』2017年9月28日号(27日発行), p7