仕手株

 

 株式市場で価格操作された株は「仕手株」と呼ばれます。仕手株を仕掛ける集団が仕手集団です。仕手集団は株価低迷の会社を狙います(*1)。売買成立数が少ない時に、仕手集団は狙いの会社株を買い集め、株価を上昇させます(*1)。株価上昇に誘われて、仕手集団以外の投資家の買いが入り、さらに株価が上昇します(*1)。仕手集団以外の投資家の買いによる株価上昇局面は「提灯がつく」と言われます(*1)。

 

 提灯がついた局面で、仕手集団は仕手株を売れば利益を得られます。仕手集団による売りの局面で「仕手株空売り」を行う投資家がいます(*1)。仕手株の価格が暴落すると判断し、空売りを行うのです(*1)。空売りとは、投資家が証券会社から株を借り、市場で売り買い戻すことで利益を得る投資手法です(*1)。投資家が証券会社から借りてきた株を株価2,000円の時に売り、その後1,000円まで下落した時に買い戻せば、1,000円の利益になります(*1)。買い戻された株は証券会社に返却されます。

 

 証券会社は無料で株を貸すのではなく、委託保証金もしくは代用の証券を投資家に要求します(*1)。仕手株空売りする投資家にとって、悪い展開は仕手株が上昇することです。2,000円で売った株が3,000円に上昇した局面で、株の返却が迫っていれば、3,000円で買い戻すことを余儀なくされます。投資家は1,000円の損です。また空売りした株が、上昇した場合、追加の委託保証金(追証)を証券会社から求められます(*1)。追証の負担から、投資家は値が上昇した株を買い戻すことがあります(*1)。

 

 仕手集団は「空売りを行う投資家」を狙います。提灯がついた局面で仕手集団は一度仕手株を売り下落局面を匂わせ、「空売りを行う投資家」を呼び込みます。空売りが行われた後、仕手集団は再度仕手株を買い集め、仕手株の価格を再度上昇させます(*1)。「空売りを行った投資家」は損失覚悟で仕手株を買い戻します(*1)。「空売りを行った投資家」に仕手株を高値で売るのは仕手集団です(*1)。

 

 仕手集団はこの時点で全ての仕手株を売ります(*1)。「大きな買い手」だった仕手集団がいなくなることで、仕手株の価格は一気に下落します(*1)。仕手株において「損」の役回りを演じるのは、会社と既存株主と一般投資家です。

 

<引用・参考文献>

*1 『株式市場の黒幕とヤクザマネー』(松本弘樹、2009年、宝島SUGOI文庫), p42-47