輸入価格と末端価格の「倍率」

 

 アヘン戦争(1840~1842年)以前の清国において、アヘン末端価格は輸入価格の5~10倍と推測されています(*1)。当時の清国にとってアヘンの広がりは社会問題でした。現代の日本においては覚醒剤使用が社会問題となっています。

 

 日本の覚醒剤市場はヤクザ組織が支配しています。ヤクザ組織は外国から覚醒剤を密輸しています(*2)。覚醒剤の輸入価格には幅があります。2012年時、覚醒剤の輸入価格は1kg=900万円前後と言われていました(*2)。2016年時、覚醒剤の輸入価格1kg=400~1,000万円という話がありました(*3)。また一時期1kg=1,000万円だったものの、2016年時には1kg=500万円まで下落したという話もありました(*4)。密輸品という性格上、覚醒剤の輸入価格は正確に把握困難ですが、覚醒剤の輸入価格は500~1,000万円台であることが推測されます。

 

 日本の覚醒剤市場における末端価格は2012年時1g=7万5千円 (*2)、2016年時1g=3万3千円~5万円 (*3)とされています。1kgに直すと2012年時1kg=7,500万円、2016年時1kg=3,300~5,000万円となります。

 

 2012年時の場合、覚醒剤の輸入価格は1kg=900万円前後で、末端価格は1kg=7,500万円となります。末端価格は輸入価格の約8倍となります。

 

 2016年時の場合、仮に覚醒剤の輸入価格を1kg=400万円 (*3)、末端価格を1kg=3,300万円 (*3)とすると、末端価格は輸入価格の約8倍となります。

 

 アヘン戦争前の清国のアヘン輸入価格と末端価格の「倍率」と、現代日本覚醒剤輸入価格と末端価格の「倍率」にさほど差がない印象を受けます。

 

<引用・参考文献>

*1 『銀の流通と中国・東南アジア』(豊岡康史、2019年、山川出版社), p8, 14-15

*2 『裏社会 噂の真相』(中野ジロー、2012年、彩図社), p203-206

*3 『薬物とセックス』(溝口敦、2016年、新潮新書), p107-108

*4 『週刊実話』2016年3月3日号, p34