帰無仮説と対立仮説

 

 統計学において「仮説の是非」は、検定(仮説検定)によって決められます(*1)。仮説検定では、まず「帰無仮説」を立て、次に「対立仮説」を立てます(*2)。主張したい仮説は「対立仮説」になります(*2)。

 

 手本引きを例にすると、ある賭場で「六が50%以上の確率で出る」という仮説を主張したい場合、「六が50%以上の確率で出る」という仮説が対立仮説になります。一方、帰無仮説は、対立仮説にとって「否定したい仮説」になります(*2)。手本引きの例では、「六が49%以下の確率で出る」という仮説が帰無仮説となります。

 

 仮説検定は、帰無仮説の間違いを示すことで、対立仮説の正しさを示すという背理法の考えに基づいています(*3)。帰無仮説の間違いが示されることは「帰無仮説の棄却」(*4)、帰無仮説の間違いが示されないことは「帰無仮説の受容」(*5)と呼ばれます。

 

 「帰無仮説の発生確率」(*1)によって、帰無仮説が棄却されるか、受容されるかが決まります。「帰無仮説の発生確率」はp値とも呼ばれます(*4)。また帰無仮説の棄却、受容を決める水準は「有意水準」と呼ばれます(*4)。p値を求める計算の前に、あらかじめ有意水準を決めておきます(*2)。

 

 統計学において有意水準は任意で決められますが、5%以下が望ましいとされます(*4)。仮説検定において、p値が有意水準を下回れば「帰無仮説の棄却」、p値が有意水準を上回れば「帰無仮説の受容」となります(*4)。

 

 手本引きの例に戻ります。帰無仮説、対立仮説(主張したい仮説)は以下でした。

 

帰無仮説「六が49%以下の確率で出る」

対立仮説「六が50%以上の確率で出る」

 

 帰無仮説の検証の為に、有意水準を5%とし、p値(帰無仮説の発生確率)の計算を実施します。

 

 p値が4%であれば、帰無仮説「六が49%以下の確率で出る」は棄却されます。結果、対立仮説「六が50%以上の確率で出る」が採択されます。

 

 p値が6%であれば、帰無仮説「六が49%以下の確率で出る」は受容されます。対立仮説「六が50%以上の確率で出る」は採用されません。

 

<引用・参考文献>

*1 『ゼロからはじめる! 統計学見るだけノート』(永野裕之監修、2018年、宝島社), p160-161

*2 『まなびのずかん 統計学の図鑑』(涌井良幸・涌井貞美、2015年、技術評論社), p76-77

*3 『ゼロからはじめる! 統計学見るだけノート』, p164-165

*4 『ゼロからはじめる! 統計学見るだけノート』, p172-173

*5 『まなびのずかん 統計学の図鑑』, p79